柳宗理の南部鉄器 深型鍋 鉄蓋
柳宗理の南部鉄器
この名前は聞いたことはあるのではないだろうか
日本で初めてデザインという思想を広めた人
我が家でも、キッチンツール、鍋、カトラリーと長い間使わせてもらっている
非常に優れたデザインで、しかも使いやすい
冬になったら、やはり鍋を食べたくなる
そこで思い出したのが、柳宗理氏がデザインした日本を代表する名品の南部鉄器の鍋
美しくデザインされたその鍋の取手のデザイン、大きく綺麗なカーブを描き
かつ持ちやすく、その重厚感を感じさせない
使うことを主として考えられたデザインの美しさを楽しむことができる
柳宗理とは
1950~60年代の戦後復興期から高度成長期にかけて、最も日本のモダンデザインを支えたインダストリアルデザイナー。
柳がデザインを始めた当初、戦後の日本ではデザインという言葉も一般に知られておらず、世の中は経済成長に伴い安くつくれて質の悪いものが多く出回っていた
そのような商業主義に偏ったものや、流行に左右されるものを否定し、製品における機能や素材等の諸要素をふまえた上で、質の高いデザインをすることを理念に活動をしてきました
彼の手から生まれたシンプルで純粋な形の中に実現された人の心を打つ暖かさは
彼が主張する「用の美」そのものである
日本デザイン界の一人者であり、「美は人々のためにある」と提唱し続けた人
その作品たちはパリのルーブル美術館やニューヨークの近代美術館など世界各国の美術館に、多数の作品が収蔵されています。
どんな作品があるのか
*バタフライツール
両側にスッと流れていくような美しいデザインは、その名の通り蝶を想起させ
手首をくっつけ、花の形を手で作った時の様子にもよく見えます
また左右対象のシンプルなデザインは、日本の鳥居をイメージさせるとも
海外では言われているそうです
*カトラリー類
刺すと乗せるを両立したカーブ
塗ると切る刃物の広さ
掬いやすく乗せやすい丸みと深さ
全てが計算されたデザインだと言うことを、使うことで実感出来るはず
*南部鉄器
その他の余計な装飾はせず、南部鉄器の上質な重厚感と味わいのある深い色合いを生かし、持ち手の部分を大きく張り出すことで、重量のある鉄器を両手で持ちやすい
底部は、さらに厚くし鉄器の良さである、火のあたりをやさしく
食材を包み込んで調理してくれる
柳宗理の思い
「特に企業はモノを売るために毎年少しずつデザインを変えていく
去年のデザインが今年には古くなっている
すぐに変えなきゃいけないデザインなんてのはデザインじゃない
そんなことをしておいて『社会のためとか、ユーザーのため』なんて言葉はおかしいよ
モノがどんどん使い捨てられて、ゴミをつくって行くことが経済の繁栄に繋がるというのは
社会の仕組みとしておかしい
それにデザインという名目でデザイナーが荷担しているということに気付くべきだね」
ミニマリズムと柳宗理
柳宗理の作品には、現在のミニマリズムに通ずる意識を感じられる
デザインあっての道具ではなく、道具として使うためのデザイン
故に必要最低限のデザインであり、それは流行りすたれは無く、
使いやすいからこそ、使い続ける
良いデザインのものを大切に使い続け、寄り添っていく
使い捨ての時代から、持続の時代へとリンクしていく
そんな現代に必要な思いを感じることのできる一品だ